COMMAハウス 概要

1. COMMAハウスとは

 東京大学生産技術研究所とLIXILの共同実証実験住宅「COMMAハウス」が、2011年8月に完成しました。
 2020年に広く普及するスマートハウスを目指し、住宅におけるエネルギーマネジメントの実証実験を行っています。
イメージ  『COMMAハウス』とは、いえ・もの・情報・ライフスタイルを統合して、快適性・省エネ性を実現し、持続可能エネルギーの最大導入に貢献する住宅を、2020年に広く普及させることを目指し、さまざまな実験を行なうための住宅です。気密・断熱・耐震機能に優れた構造体に、風・光・熱をコントロールする開口部材や、太陽光発電・太陽熱利用機器・省電力照明(LED・有機EL)・
HEMS*(1)を備えています。

イメージ  『COMMAハウス』は、特定メーカーによる機器の利用状況の見える化や省エネルギー制御といった機器中心の考え方にとどまらず、建物そのものの特性やプランニングを活かし、住宅としての性能、意匠性を維持しつつ、そこで暮らす人の快適性を最適なエネルギーコントロールで実現することを狙います。さまざまなメーカー、異業種の機器の協調運用ができるオープンなシステムで実験を行い、蓄積したデータをライフスタイル提案に活用するなど住まい手を巻き込んだ取り組みを進めます。東日本大震災による教訓を活かし、分散電源やエネルギー貯蔵などの自立性の確保についても検討していきます。
 この実証実験を通じ、全体のエネルギーシステムと協調しつつ、創るエネルギーと消費するエネルギーの需給バランスを確保する、快適でサステナブルな2020年のスマートハウスの提案・商材の提供を目指します。

*(1) HEMS(Home Energy Management System):センサやITを活用し、住宅のエネルギー管理を行うシステム

2. 完成までの背景

 3.11以降、電力供給量不足が懸念され、再生可能エネルギー導入の期待も高まっていますが、太陽光発電や風力発電などは、気象条件などによる発電量の変動が大きく、電力システム全体での需給調整が難しくなるとされています。一方、電気やガスなどの国内エネルギー使用量のなかで、ビルや住宅など民生部門の割合はエネルギー全体の約1/3を占め、そのうち約4割が住宅で消費*(2)されています。供給側からの集中エネルギーマネジメントだけではなく、エネルギー貯蔵も含めた需要の能動化による需給調整制御=分散エネルギーマネジメントが実現できれば、資源の有効利用にもつながり、エネルギー問題解決に大きく寄与します。また、個々の住宅や小さなコミュニティ単位で分散してエネルギーマネジメントが可能になることで、震災時などのリスク回避にも貢献できると考えます。
*(2) 資源エネルギー庁 エネルギー白書2010より http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2010/index.htm

3. 特長と狙い

 『COMMAハウス』は、特定メーカーによる機器の利用状況の見える化や省エネルギー制御といった機器中心の考え方にとどまらず、下記の実現を目指しています。

  1.家電・機器分野と建築分野の関係者の連携による住宅トータルとしての快適性、意匠性の追求。
  2.さまざまなメーカー・異業種の機器の協調運用を行う、マルチベンダーのオープンなシステム。
  3.蓄積データの活用により、ライフスタイルの提案など、住み手を巻き込んだ提案。

4. 実験概要

 断熱性能を変化させ、さまざまな条件のもとでの住宅の快適性や省エネ設備の最適運転特性、建築による省エネ効果を測定し、分散エネルギーマネジメントの実証実験を行う。

  1.建築的な手法による省エネルギーの可能性の検討
  2.住宅におけるエネルギーマネジメント実証実験
  3.住宅における最適エネルギー需給モデルの開発
  4.その他の関連試験

5. 実験住宅の概要・設備構成

@ 建物規模 一般戸建て住宅想定 延床面積93.31u
A 住宅性能 2020年頃の一般的な断熱・気密性能を有する住宅(東京地区を想定) 設備・空間・断熱性能などを調整可能
(断熱性能の可変範囲:Q値*(3) 1.6〜2.4W/uK)
B 主要機器 太陽光発電システム、ヒートポンプ給湯機、ガス給湯器、太陽熱集熱器、定置式リチウムイオン電池、エアコン、LED/有機EL照明、自動開閉窓、電動シェード、開閉式膜天井、分散エネルギーマネジメント装置、制御入力/表示機器など
C 設置場所 東京大学駒場Uキャンパス(東京都目黒区)敷地内
*(3) Q値 : 熱損失係数のことで、住宅の断熱性能を数値的に表したもの。値が小さいほど断熱性能が高いことを表す。
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